祈りのブータン王国07

今回は、ブータンの学校について書きたいと思います。
何度も書いていますが、あくまで僕の主観でとらえていますので、ご了解くださいませ。
私は今、聾学校で高校生に美術と木工を教えています。教えているといっても、逆に学ぶことばかりですが、、、
そこで、友人がブータンの聾の子ども達に美術を教えている現場の見学を設定しくれました。感謝、感謝。
 僕のいる三重県では、単体で聾学校がありますが、ブータンでは単体の聾学校でなく、普通学校に併設する形で聾学校がありました。上の写真は学校の入り口付近にあった立て看板です。GNHの4つの柱。
ここで小話。
「さて、GNHはいったい何の略でしょう?」
この質問はブムタンに連れて行ってくれたタクシー運転手、27歳子持ちのパッサン、から友人への質問です。現地で働いてるし知らないはずないですよね。
Gross National Happiness」
もちろん友人はこう答えていました。するとパッサンが、
「No, Sometimes Government No Help.」
ですって、、、なるほど、、、っていやいや、他の国に比べたら手厚いほうだと思うよ〜。
この、裏GNHなら日本はどんどん上位をめざしているかもしれません。。。
もっとひどい国はたくさんありますが、、、
さてさて、話しを戻さねばなりません。ブータンの学校は面白いです。学校は日本でいう幼稚園年長さんからはじまるのですが、年齢で入学が決まるわけではありません。
なぜなら、学校から遠い山の中に住んでいる子などが、自分で通えるようになると入学できるようになるのです。なので、私たちのように同学年同年齢という感覚はありません。
 この写真は美術室の中です。だいたい8畳くらいの広さでしょうか。
そうそう、ブータンでは、美術の授業はまだありません。僕の友人、Maakoはブータンの美術カリキュラムを作るという仕事に従事しています。彼女のブログはこちらから。
彼らにどういった美術の教育がいいか考えるのはなかなか難しいですが、あくまでブータンの人を尊重する形で関わっている彼女の姿勢が印象的でした。支援という形で自分たちの価値観を押し付けてしまうことが多いと思うのですが、彼女のような存在は貴重だしすばらしいと僕は思います。
さてさて、聾学校で教えておられる素敵な先生は、Maakoと同じボランティアで来られました。ブログはこちら(リンク了解得てないです。。すんません→心よく了解していただきました、ありがとうございます)。
 美術の授業を見学させてもらいました。この時、ちょうど学校の文化祭の準備期間で、短縮授業となっていました。短縮だと40分、この長さはなかなかキビシそうです。
ですが、上手く工夫されとてもいい感じで授業をされていました。子ども達二人一組になってもらい、お互いのHappiest Faceを紙いっぱいに描きます。
 これほど画面いっぱいに描ける子は僕の学校ではなかなかいない、、、
もともと彼らも画面に小さく描いていたようですが、今ではここまで大胆に描けるようになったみたいです。迫力があってとても素敵でした。子ども達は、いい、もしくは悪い、を知りたがるようで、手を動かすためにどんどんほめておられました。自信を持つこと。それはすごく大切なことだと思います。ここまで大きな絵を描けるようになった彼らは絵を描くことに自信を持ててるかも。忍耐強く子どもたちを見守ってこられたんだと感激しました。僕も頑張らなきゃ。。。
もともと僕は芸術大学に進学を決めた時、芸術は普通の競い合いじゃなくて、自分で考えて自分で基準を作れるから。とどこかで考えていたように思います。社会にはいろんなゲームがあります。例えば勉強という名のゲーム、お金もうけゲーム、スポーツゲーム、政治ゲーム、、、いろいろなゲーム、僕らはいろんなゲームのプレイヤーです。けど、そこで自分ゲームを作れる人は意外と少ないかもしれません。誰かのゲームにのっかるだけでなく、自分なりのゲームを作ってみること。クリエイティブは難しいことでなく、自分なりに創意工夫することなのではないでしょうか。
そういう意味では、ものが少ない時代の人は確実にクリエイティブな人が多いです。年配の人と一緒に作業すると、身の回りのものを組み合わせ、工夫してあたらしいものをつくる能力が高いことが多いです。僕も負けじと工夫して作業します。
ブータンの子ども達、たぶん創意工夫する力は相当あるでしょう。それはものが多くない中で、小さいころから農作業をしたり、家事手伝いをしているからです。工夫しなきゃ出来ないし、工夫して自分なりのゲームにしていくから。
あれ、何が言いたかったんだっけ。。。
よくわかんなくなってしまいましたが、、、僕も子ども達と一緒に工夫して楽しめる授業が出来たらいいなと思います。
他のクラスも見せてもらいました。そうそう、聾の人が使う手話。これは各国違います。
ブータンでは、授業はすべて英語で行われており、国語のみゾンカ語です。ここに手話も入るのですから、聾の子どもたちはなかなか大変そうです。特に学校に入ったばかりの聾の子どもたちは、慣れない寮暮らしの子もいるし、コミュニケーションがとれないストレスで大変だと思います。障害を持って生まれる子どもたち、前世の業で現世に障害を持って生まれたと考える人も多いようなので、差別もあるようです。
高学年のクラスでは、こんな質問が。
「日本の聾学校の生徒は卒業したら仕事はあるの?」
僕のいる聾学校の卒業生はかなりの確立で仕事についています。
それは、大企業の障碍者枠というのがあるからです。もちろん、そうでない子どもたちもたくさんいるし、日本の現状がいいかと言うと、なかなか難しい。。。
ブータンではそういった制度はありません。日本のような制度が必要かどうかは難しい判断ですが、彼らが社会の中で活躍できる場が少しでも増えることを願います。
これは授業が 終わってからの文化祭の練習の風景です。先生のオリジナルの歌にあわせて踊りの練習です。歌に哀愁があってすごくよかったです。内容は宗教的なものらしいです。他にも、演劇、バンブーダンスなど、皆一生懸命取り組んでいました。
快く見学を許していただいて本当にありがたかったです。
少し見ただけではわからないこともたくさんありますが、とにかくまずは見れてよかったです。感謝。

p.s.
実はこの学校の校長先生、初対面ではありませんでした。
タイからブータンの飛行機の手続きをするチェックインカウンターでのこと。
僕はブータン人と一緒に列に並んでいたのですが、ちょうど隣にいたのが校長先生だったのです。彼はやたらと多い荷物で、荷物のシェアを頼んできました。もちろん僕はその時彼が校長先生だとは知らず。ま、いいかということで彼の荷物の一つを僕の荷物としてブータンまで運びました。そして、空港で彼のクレームタグを渡して別れたのでした。まさかまさか、こんなところで再び会うとは。。。ブータンって小さい。
友人がわざわざこの校長先生に見学許可のレターを書いてくれ、学校の見学が出来たのですが、僕がいきなり「あの人知ってる」って指さしたものだから、、、失礼のないようにしなければいけませんね。。。けどどうしても、「しょうがないなぁ、このおっちゃん、荷物多いし超課金払いたくないのね」って感じでエラい人に思えなかった。。。
ちなみに、普通は決して人の荷物を預かってはいけません。知らない間に薬物を運ばされていたりすることもありますので。ご注意ください。

Takao

16 コメント :

  1. シリウス星人2014/10/05 23:47

    ご友人のmaakoさん。チべタンネーム持ってらっしゃるんですね!!
    実は、私もチべタンネーム持ってます!!(笑)

    JICAに興味あって、いろいろ募集してるの見てたんですけど、
    (要らない情報かもしれませんけど、)
    ブータンの聾学校の教師を今募集してますよ。

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  2. シリウス星人さん

    コメントありがとうございます。
    まーこ、チベタンネームもってたんですね。
    今気づきました。

    へぇ、聾学校の先生の募集ってことは、まさしくこの学校だと思います。
    ここしかないし。
    ぼくの知り合いとかで行きたい人がいるかもしれません。

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  3. シリウス星人2014/10/06 23:46

    ブータンで一校しかないと書いてありましたよ。
    ここですか!
    へ~~。私が行きたいくらいですわ。…何も教えられないですけどねえ。

    JICAに行っていた人たちに色々お話を聞いたんですけど、
    みなさん、すごく楽しそうにお話されてるのが印象的でした。
    みなさん、すごい自由人で、良い感じでした。

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  4. シリウス星人2014/10/07 0:47

    書き忘れたんですけど、
    募集してるの、
    ブータンの聾学校の「美術」の教師でした!
    それ見たとき、こちらに書き込もうと思ったんですよ!
    まさにミラクル!

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  5. シリウス星人さん

    コメントありがとうございます。
    このブログで紹介した先生の後任を募集しているんですね。
    その方は本を出されて、このブログでも紹介しているはず。
    とてもやりがいのある仕事だと思うので、素敵な人が後任に決まるといいなと思います。
    ブータンでは、去年あたりからはじめて美術の授業がはじまったので、美術の先生自体がいない状況だと思います。
    美術に対しては愛憎いりまじる気持ちがありますが、ブータンでの授業がクリエイティブな発想を育む場になることを祈っています。

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  6. シリウス星人2014/10/10 0:33

    ?愛憎いりまじる、、、って?
    私は、自分で絵描いても、服作っても、だいたい、すぐに捨ててしまいますけどね、
    飽きるというか…。
    友人夫婦が二人とも中学の時の美術の作品をリビングに飾っていたのには驚きと笑いが出ましたけど…。
    しかも、ホコリかぶってるし…っていう。笑。
    モノづくりって良いですよね。


    ホント、なかがわさん行ったらいいんじゃないですか?

    適任じゃないっすか?現地行ってるし…っていう。

    私がなかがわさんのブログ見つけたのも、JICAのホームページでこの募集を見つけたのも、

    なんかのサインかもしれませんねえ。…なんてね。、、、宇宙人のたわ言ですけどね。

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  7. シリウス星人さん

    ブータンはよいところですが、ぼくにとってのJICAの話しはぴんとこないです。
    行って貢献したいと心から思っている人がいくといいなと思います。

    美術に関しての思いはなかなかわかってもらえないかもしれません。
    芸術大学で大学院まで行って、芸術のことをずっと考えていたのでどうしても簡単に扱えないのです。
    ぼくが今やっている活動も、自分なりの芸術への答えなんです。

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  8. シリウス星人2014/10/12 22:45

    単純…明快、複雑…怪奇。
    なかがわさんは、怪奇の方かもしれませんねえ。(失言ですかね…?)
    人って、世界って、
    生き方とか
    ライフスタイル自体がアートなのかもしれませんねえ。

    ま、
    何か作ってたら、生きてたら、欲って出てきますからね。

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  9. シリウス星人さん

    コメントありがとうございます。
    そうですか、怪奇と思われたのですね。
    なぜそう思われたのかわからないですが、そういう見方もあるんですね。

    欲は生きてる限りでてきますね。
    欲をうまく昇華できたら人に喜んでもらえることにつながるのかなと思います。
    そっちの方が自分の喜びも大きくなりますし。

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  10. シリウス星人2014/10/15 23:39

    ご気分、害されてたらすみません。
    怪奇…世の中の芸術と言われるものを見たとき、
    ものすごく悩んで苦しみながら作るタイプと
    ただ、楽しみながら、無心で作品が勝手に出来てしまうタイプがいるな…と思ったんです。
    何か降りてきて、悩まずに作れてしまう人の作品も素晴らしいですけど、(多分、誰かに書かされてたりするらしいんですけど)
    苦しみながらも作られた作品も、すごいです。
    音楽でも小説でも絵でもなんでも。マンガとか。
    最近、NHKのアーカイブスで「ガロ」を特集していまして、「カムイ伝」の作者の白土三平は
    ものすごく苦しみながら描いていたそうで。
    このマンガもハンパないんですけど。

    芸術とか、もの作る人ってすごいいろんなタイプいると思うんですけど、
    だいたい感性が豊かだから、いろんなものに目がいってしまって
    すごい考えすぎるというか悩むというか。そういう人の方が、ものづくりに向いてる気がするんですけど。
    多分、なかがわさんもよく物事を考える方かもしれないな…と勝手に思ったものですから。
    勝手に怪奇などと、書いてしまったんです。

    複雑の後は怪奇とつくそうで。斉藤一人さんが言ってた言葉なんですけど。

    すごい必死のフォローなんですけど…

    欲は大事です。
    無くなったら、生きることはできないでしょうね。

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  11. シリウス星人さん

    コメントありがとうございます。

    あぁ、そういうことだったのですね。
    たしかにぼくは天才型じゃないです。
    ビジョンが見えたり、聞こえてきたりということはあまりないな。
    ま、ものによってはかなり見えている場合もありますが。

    ものづくりに向いている人、それはずばり手を動かすのが好きかどうかだと思います。
    そういう意味ではぼくはけっこう好きです。
    けど、職人さんとはすこし違うかもしれません。
    考えることも好きだし、物理的にものを作るということだけでなく言葉も好き。
    表現者でありたいです。

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  12. シリウス星人2014/10/18 14:26

    思い出したんですけど、訂正なんですけど、苦しみながら描いてたのは
    つげ義春の方だったかもしれません。


    なんでも楽しんで作るのがいいですよね。
    ストリートチルドレンが描いた絵とか、
    世界の子供が描いた絵とか、ものすごかったりします。
    あまり、大人の価値観とか植え付けられてない感じの子供の絵とか。すごい。
    ブータンの耳の聞こえない子たちの絵はどうだったんでしょうか?

    やっぱり、子供は天才ですよね。

    私はなかがわさんの感性とか文章はけっこう気に入ってますよ。けっこうオモシロイですよ。


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  13. シリウス星人さん

    コメントありがとうございます。

    つげ義春さん、今何してるんでしょうね。

    ブータンの子供たちの絵、けっこうよかったですよ。
    自由に描くってことに慣れてないので、ある程度のガイドが必要なのかなという感じでした。

    子供は頭と体が分かれてないから、全身で表現できてしまうことがすごいところかもしれません。
    100パーセント今にコミットできる。

    そういう状態で過ごすことが理想的だと思います。

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  14. シリウス星人2014/10/21 1:23

    つげ義春。…20年以上作品発表してないみたいですね。
    ウィキ見たんですけど、すんごい生きざま…で驚きです。(笑)
    楽しく生きておられたら良いですね。
    気になってたんですけど、未だに読んでないです。あります?

    美術とか音楽の授業が無い国って結構ありそうですよね。というか、
    学校行けない子もいますね。世界は広いですね。
    でも、世界中の子どもたちにも経験してほしいです。出来たら。
    ちょっと、旅で出会った子供を思い出してしまいました。日本は恵まれてますよ。ほんと。

    ブータンいいですね。ブータンの子供は純粋そうですね。多分、日本の子供も純粋でいい子たちなんだけど。
    目の輝きが違うって、誰かが言ってました。

    日本は、大人が欲張りすぎるのかもしれません。

    出来れば、子供たちに国を治めていただいきたい(笑)また、バカなコメントを…すみません。

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  15. シリウス星人さん

    コメントありがとうございます。

    つげ義春、昔すべてそろえていたのですが、、、
    ある時に売ってしまいました。
    なので持ってないです。

    美術の概念自体がない国もあります。
    美術っていう概念は最近作られたものですから。
    江戸時代の日本には美術はなかったと思います。
    絵に関する職人はたくさんいたと思いますが。
    今ぼくたちが考えるのは西洋の美術です。
    ぼくはものづくりの授業は大賛成なのですが、西洋的美術の概念の導入には、、、
    文化を壊すことにもなりかねないので慎重にと思います。

    子供たちが輝く国は将来が楽しみですね。
    未来を作るんだから。
    そして、子供が輝く国は大人も楽しく笑ってるように思います。
    だからまず自分が輝く生き方したいものですね。

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  16. シリウス星人2014/10/25 23:43

    つげ義春、全巻持ってる人って、そうそういないですよ。…すごい。
    マンガって、たまに断捨離で手放してしまうときってあります。後で後悔したりするんですけど。

    美術の概念って最近なんですか。へ~。
    ま、人間は大昔でも、岩とかにも絵描いてたりしたんでしょうけど。

    西洋的美術の概念って何です?よく分からないんですけど。(どつぼにはまりそうなんで、答えなくていいですよ。)
    私は、美術の時間に作った作品に評価つけないで欲しいって思うんですよねー。
    なんでも、自己満足できるかどうかって思うんですけど。人の価値基準って違うじゃないですか。ものの見方も。
    教師のセンスもどうなの?って昔思ったことありますね。(失礼な生徒だわ。(笑))

    子供が子供らしくあることが出来る世であってほしいですね。ほんと。

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