遠くて近い東北へ01

最近、旅の話しばかりですが、今回は先日訪れた東北のお話です。
が、その前に少し東北に行くようになったきっかけなど書きたいと思います。

僕が東北に行くようになったのは3年前からです。
田んぼをはじめて2年目、より自然に近い方法の農法を探っていた時、「奇跡のリンゴ」で有名な木村秋則さんの自然栽培という方法を知りました。赤目には、これまた有名な「自然農」の川口由一さんの赤目自然農塾があります。僕は少し自然農もかじったのですが、僕にとってこの方法は、ある程度以上の面積のお米つくりは難しいことがわかりました、そこで自然栽培の方法をやってみようと思ったのです。
自然農、自然栽培、何が違うの?
と思われた方も多いかと思います。僕なりの解釈を簡単に説明しておきます。
自然農、自然栽培のお二人、川口さんと木村さんは愛媛におられた福岡正信さんに強い影響を受けられました。福岡さんは自然農法という概念を広められた方で、自然はすでに完全な存在であり、人間が出来ることは自然に付き従うことしかない。というような感じです。
無意味なことをしない、無耕起、無肥料、無除草という農法で、泥に何種類かの種を入れて泥団子をつくり、ぽいっと地面に放ると、その地面に適した種がうまく発芽する。
そんな素敵な農を実践されていました。
けれど、その考え方は強烈なメッセージもふくんでいます。現代の農業、科学文明を真っ向うから否定しているのです。これはすごいことです。
川口さん、木村さん、両方とも福岡さんの本に出会ってから、従来の農法を捨てて自分なりに自然と向き合った農法を模索されました。
僕の中で、福岡さんは、なかなか癖のある人で、仙人のようなおじいちゃんのイメージなのですが、結構大風呂敷を広げるタイプの方かもしれません。
気候風土にも関係するようですが、福岡さんの通りにやってもなかなかうまくいかないようです。
川口さん、木村さんは最終的に、自分なりに身の回りの自然と向き合った結果、それぞれの農法を生みだしたのではないでしょうか。
 川口さんが住んでおられるのは、奈良県桜井市。奈良県は僕の故郷でもあるのですが、山が多く、それほど広い農地がないところです。ここで自然と向き合われた川口さんは、ほとんど機械を使わず、昔ながらの農法を深めて不耕起の田んぼつくりや畑つくりの方法を確立されました。また、漢方にも精通されており、人間が自然の中でどういう存在かを深く理解されているように思います。
桜井は赤目からも近いのですが、このあたりはもともと忍者の発症の地なのです。僕のイメージでは、川口さんは忍者のように見えます。忍者は、普通、農に携わっているのですが、実は薬草に詳しかったり、戦闘技術に秀でていたり、、、スーパーお百姓さんなのです。山間の村、限られた面積で農をしながら工夫に満ちた生活を送る。それがこの地の農のかたちなのかもしれません。
木村さんは、東北、青森の出身です。
東北は奈良に比べると10倍くらいの面積の農地がありそうです(僕のイメージですが、、、)。行ってみるとたしかに広さの単位が一つ違います。この地で農に携わる時、なくてはならないのが機械です。昔は村人すべてが農に関わっていたのだと思いますが、今は一人当たりの農家が扱う面積は、手作業では不可能な面積です。木村さんは、もともと機械好き、人間好きな人なので、機械も愛しておられるように思います。出来るだけ無駄なかたちで機械を使うことはさけますが、必要な部分では使われます。
機械を使いながら、今の社会の中で農業としても食べて行けることも視野に入れた農法という意味で、栽培という言葉を使われているようです。
ある人がおっしゃられていて、なるほど、と思ったのですが、「機械は人間の知恵のかたまりじゃなかろうか。」という言葉、たしかに。
知恵を超えてしまうとあまり意味はなくなりますが、、、それを超えてしまう人間の欲深さやばかさ加減にも人間らしさを感じます。

僕はお二人ともすごい人だなぁと感銘をうけました。
そして、自然は、その人、その場所で異なった方法を教えてくれるのかもしれないと思いました。もちろん、根底に流れるものは同じだと思います。自然を敬い私たち人間の役割を謙虚に受け止める。それは様々な宗教の教えるところとも重なるのかもしれません。

長くなってしまいましたが、僕は僕なりにしょぼしょぼかもしれませんが、農に携わりながら自然の中で暮らしています。
東北、宮城県加美町のお師匠さんは、木村さんの栽培方法をされているプロの農家の方です。とてもあたたかく、僕を受け入れてくださいました。思えば3年前、突然の電話なのにいつでも見においでと言われ、とてもうれしかったことを思い出します。
いつお会いしても、楽しそうに田んぼの話しをされているお師匠さん、僕にとっては本当に大好きな人、尊敬する人です。

ということで、次回から少し東北のお話をします。

写真は、上・加美町で見た無数の蝶。下・お師匠さんの田んぼには、とてもめずらしいミズアオイが復活していた。

Takao

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