「太陽の東 月の西」アスビョルンセン編 佐藤俊彦訳

「太陽の東 月の西」アスビョルンセン編 佐藤俊彦訳

僕の好きな岩波少年文庫です。
ノルウェーの民話を集めた本で、全部で18の短編が収録されています。
民話や昔話は、その地方独特の感性があってとても好きです。
なんとなく、何かの比喩や象徴を物語にしているものが多いんだろうというイメージでしたが、そうでないものもありました。

「流れにさからうおかみさん」はすごかったです。
実際に読んでみたい方は内容がばれてしまうので、ここからは読まないでください。

あるところにおかみさんがいて、そのおかみさんはひどいつむじまがりでした。
そのおかみさんがだんなさんに畑の作物をはさみでつまんで刈り取るというのです。
どう考えても鎌で刈り取ったほうがいいので、だんなさんは鎌でやろうというのですが、
おかみさんはまったく聞き入れずに二人は口論になります。
そうこうしているうちに、おかみさんは川でつまづいて落ちてしまいます。
だんなさんは助けながらやっぱり鎌でやろうというのですが、
おかみさんはおぼれながらもはさみで!と聞き入れません。
なので、だんなさんはおかみさんのあたまをしずめて、
もう一度、鎌でやろうと言うのです。
けれど、おかみさんはおぼれながら手をはさみのかっこうをしてはさみで!
というしぐさをします。だんなさんはついに怒ってもっとしずめます。
そのうち、おかみさんはしずんだままになってしまいました。
しばらくして、だんなさんはおかみさんをしずめたままにしておくのはしのびないと思って、川に見に行きます。
ですが、雇い人を使って下流を探してもいっこうに見つかりません。
だんなさんは、あれほどのつむじまがりなんだから、下流にいるわけない。
と気づいて、上流を探すことにします。
そしたらおかみさんの死体はちゃんと上流にいたのです。

すごい!なんだこれ。
実際には、なんとも言えない間のとりかたの文章表現なので、もっとおかしいです。
この他の物語ももちろんとても面白いものばかりでした。
シンデレラの男の子版のようなものや、トロルとの戦い、
本のタイトルにもなっている「太陽の東 月の西」、タイトルだけでわくわくします。

岩波少年文庫の本、すばらしいものが多いのでぜひオススメです。


Takao

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