「すごい畑のすごい土」杉山 修一 著

「すごい畑のすごい土」無農薬・無肥料・自然栽培の生態学
杉山修一著 幻冬舎新書

なかなか興味深い本でした。
奇跡のリンゴで有名な木村秋則さんのりんご園を研究されている弘前大学の教授の方がこの本の著者です。

本の内容からすこしずれますが、僕と自然栽培の出会いについて書きます。
僕が自然栽培を知ったのは4年前、当時小さな小さな農業の会社にお世話になっていたころです。
もともとは草を抑えるための方法を探していたら、チェーン除草というものがあることを知りました。
その方法を実践されていたのが宮城のNさんでした。
Nさんは奇跡のリンゴで有名な木村秋則さんから学んでお米の自然栽培をされていました。
宮城を訪れて自然栽培の田んぼを見た僕は、まずはその美しさに感動しました。
季節は8月〜9月だったでしょうか。
稲の色がなんともいえないきれいな色だったのです。
そして、朝の自然栽培の田んぼはすごくキラキラと輝いていました。
 これがその時の写真です。
なんと、クモがたくさんの蜘蛛の巣をはりめぐらせていたのです。
これは面白い!他にもたくさんの生き物、草たちと出会いました。
僕がやってみようと思ったのはこれがきっかけです。
前にも書いたのですが、ここは宮城、僕の住む三重県名張市の10倍くらいの水田面積があります。
なのでなかなかそのまままねをすることは出来ないのですが、僕は僕なりに自分の身の回りの自然の中で自然栽培をやってみようと思ったのでした。
最近は少し研究がおろそかになってしまい、つい草と戦う状態に入ってしまいがちでしたが、田んぼの作業はあいかわらず奥が深く毎年新しい発見があります。


この本では、自然栽培のメカニズムがわかりやすく書かれていました。
また、そのメカニズムは大きく見ると、環境と栽培の関わり、人間の社会活動まで関連してとらえているのでなかなかスケールの大きな話しになっています。
すぐに農作業で使える技術はありませんが、大きな考え方で参考になる部分はたくさんあると思います。
僕はとくに、見えない生物である菌類の力のすごさにこの本で改めて気づかされたように思います。
また、関係性のあり方、ネットワークのあり方についてもなるほどと思うところがありました。
この本に刺激を受けて、来年に向けていろんな試行錯誤をしてみようとわくわくしてきました。

そういえば、この本ででてくるトップダウンとボトムアップの考え方があるのですが、それについて僕も普段から考えることがあるのでちょっと書いておこうと思います。
文字通り、トップダウンは上から下へ、ボトムアップは下から上への考え方なのですが、僕はこの二つは対立するものじゃなくて、種類がまったく違うものなのかもしれないと思っています。
もともと、僕らが何かをスタートする時には必ずボトムアップからしかはじまりません。もともと上にいる人なんて存在せず、下から上に上がることしか出来ないからです。そして、いろんな失敗をくりかえしながら上にいってはじめて下の世界を見下ろして考えることが出来るようになるのです。
登山で考えるとわかりやすいのですが、山に登る前に山の上から俯瞰することはできません。いや、想像して俯瞰することは出来る!と思われる方もいるかもしれません。そうです、想像は出来るのです、しかし、それは前に上った山があれば想像できる、または前に経験した別の経験から想像できる、といったように経験からの想像なのです。

トップダウン式の思考方法でものごとが処理できるとたいていが迅速に処理でき効率がとてもいいです。これは生き物の知恵で、過去に経験した出来事の同じ失敗を繰り返さないために俯瞰して最短距離を進み、効率よく処理を行えるという方法だからです。
逆に、ボトムアップ式の考え方は行き当たりばったり、効率は悪いのですが新しいものを発見する確立は飛躍的に上がります。未知の領域にすすむ時は必ずこの方法でしかすすむことは出来ません。ですが、いつまでも行き当たりばったりなわけはありません、一歩上るとそこから下を俯瞰することはできるのです。

つまり、僕はボトムアップ式に上に登りながらたえずトップダウン式に俯瞰しながらその自分の立ち位置を振り返るようなことをしてるのではなかろうかと思うのです。
陰陽道のような感じのイメージですが、この二つの考え方が融合しながらものごとはすすんで行くように思います。

あ、話しがだいぶそれてしまいました。
ま、ともかくオススメの本ですので興味を持たれた方はぜひお読みください。


Takao


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