「正社員が没落する」

「正社員が没落する—「貧困スパイラル」を止めろ!」
堤未果 湯浅誠著 角川oneテーマ21文庫

2009年に発行された文庫本です。
母が昔読んでいたらしく、僕も読んでみることにしました。

2009年から今はちょうど5年、この本が発行された当時から見て今はどうなんだろう?
詳しい状況はぜんぜんわかりませんが、労働者の環境はよくなっているようには思えない。
むしろ悪化しているのではないかと思う。
それだけでなく、何か不穏な空気さえ漂っているように思う。
このまま進んでいった時、10年後はどうなってるのだろう?
かなり恐ろしい。

最近よくひっかかる言葉、「国民」って誰のことなんだろう?
抽象化された言葉は宙をまって、結局中身がないことが多い。
僕もよくやってしまうが、何かをひとくくりにすることはかなり気をつけないといけない。
右、左、とか何人とか、、、
ラベルをはると脳内処理はしやすいんだけどそれはあくまで自分にとっての都合であって、ラベルをはられた人の立ち場が抜け落ちてしまうことが多い。
実際の人間にはラベルなんかついてないし結局ラベルは、はってる側が区別、あるいは差別をつけるために勝手に行っているだけの行為だと思う。

本の中身とはぜんぜん関係ない話しになってしまいました。
本の内容は日、米の労働者、とくに中流階級と呼ばれる人たちが貧困に落ちてしまう社会状況を具体的に描きだしていて恐ろしくなりました。
「まさか自分が」という言葉がすべてを象徴しているように思いますが、中流階級で安定していると思っていた人たちこそが社会の底辺に落ちてしまう時、そのダメージはとてつもなく大きいと思います。
気がつくと貧困スパイラルにからめとられてしまい、あり地獄のように抜け出せない。
どんどん労働環境が悪化していっても、周りと比べて自分はまだましだから。
まだまし競争をしているとそのうちに心身がぼろぼろになる。

あらためて、「国民」って誰のことなんでしょう?
様々な人が「国民」にあてはまると思いますが、この本で落ちてしまった人たちの例、中流階級の人々はまさしく未来の自分だと思うし、その人たちこそ「国民」の大きな構成要素だと思います。
「国民のために」という言葉を使う時、ほんとに多くの市井の人々のことを指しているかを見極めないといけないと思います。


Takao

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