「シルビオ・ゲゼル入門―減価する貨幣とは何か」
廣田裕之著 アルテ出版
超、超オススメです。
昨日、本が届いて、今日読みおわったのでかなりざっくり読んでしまったのですが。
もう一回読みます。次はじっくりと。
廣田裕之さんにはこの本を出していただいてとても感謝です。ゲゼル関係の本は日本語ではぜんぜんないようですから。
ゲゼルのことは数年前に知りました。
ミヒャエル・エンデの、「エンデの遺言」というちょっと伝説的になったNHKの番組の本を母にすすめられて読んだことがきっかけでした。
その後、貨幣制度について自分なりにいろいろと調べたり、詳しい人に会いに行ったりした時期があります。
貨幣制度についての考察は、農に携わるようになったことと同じくらい僕の価値観に決定的影響を及ぼしていると思います。
とくに、マルクスと同時代に生きたゲゼルの考え方は衝撃的でした。
これは僕の勝手な意見ですが、マルクスは資本主義と対立する概念として、革命という形で世界に広がったように思います。ゆえに、マルクス主義思想は資本主義陣営との対立構造を生み出し、世界を二極化していったのではないでしょうか。その結果、資本主義陣営が勝つのですが、資本主義陣営にとっては二者択一の対立構造のおかげで今の繁栄があるのではないかとさえ思います。
ゲゼルの考え方は資本主義と完全に対立するようには思いません、むしろ資本主義を修正し、改善する方向性を具体的にうちだしていたように思います。ですが、彼は歴史の中で大きく取り上げられることはなかったのです。もしかすると資本主義陣営、というか世界をハンドリングしている政治家や銀行家たちにとってはゲゼルの方が圧倒的に危険であり、それ故に無視することが最善だったのかもしれません。
今回、シルビオ・ゲゼル入門であらためてゲゼルの考えに触れてみて、僕が思っていた「減価する貨幣の発明者」というイメージよりももっと大きく世界を考えていたことに驚きました。もちろん、減価する貨幣はとてつもなく重要な考え方ですが、その考えが生まれる基盤には、彼の世界への大きな考察がありました。
さて、「減価する貨幣」って何?と思われた方もいると思います。この考えはかなり興味深いので、簡単に紹介しておきます。
今、僕の手元にお米が100kgあります。このお米は1年後には古米になってしまいます。私たちが必要とするあらゆるモノは基本的に年月が経てば劣化してしまいます。では、お金はどうでしょう?お金は今も1年後も劣化することはありません(インフレ、デフレなどで相対的価値が変化することはありますが、劣化はしません、今は単純化するためとりあえず相対的価値は置いといてください)。
僕がAくんに余っているお米を50kg貸したとします。1年後、Aくんが新米として50kgを返済してくれたら僕は大もうけです。なぜなら、本来は劣化してしまうお米を新米として1年後に受け取ることができるし、その間の保管のあらゆる手間が省けるからです。いや、これはAくんに悪いから、40kgの新米の返済でもいいかもしれません。さて、ではお金だとどうなるでしょう?お金は劣化しないので、1年後にAくんから返してもらっても僕は大もうけしたとは思いません。むしろ、いつでも使えるお金を1年間も使えなかったのだから、その分のお礼として利子を上乗せして払ってもらわなければと思います。
あれ?これって何か違和感ありませんか?お金は結局、私たちが必要とするあらゆるモノと交換するのです。モノは基本的に劣化します。なのに、お金の場合は劣化と反対に増えてしまっているではありませんか。それって自然の法則に逆らっている。
だから、お金も劣化すればいいのです。たとえば1万円持っているとしましょう。その1万円は3ヶ月後には9500円に減価するとします。具体的には500円のスタンプを貼らないと使えないようにするのです。そうすると、先ほどのAくんに貸したお米と同じように自然のモノに則した形になります(スタンプ貨幣という形で減価紙幣を考えた場合)。
この考え方ってすごいと思いませんか?
実際の世界では、ことはそう簡単には運びませんし、話を単純化していることをもう一度お断りしておきます。ですが、ゲゼルの考え方は自然の法則に反している今の貨幣を根本から考え直すとてつもないすごい発見だと僕は思います。今の経済の基本となるくらい有名な経済学者ケインズも、「後世の人々はマルクスよりもゲゼルから多くを学ぶことになるだろう」と書いていたようです。ま、一方でゲゼルの理論の不完全性を批判もしていたようですが。
長くなってしまいました。ゲゼルの考え方は大きな視野のもとから生まれているので、彼の考えをぜひもっと知ってください。とりあえず今回ご紹介した本がスタート地点。僕も今からまた勉強しようと思っています。
今、私たちの社会はパソコンとインターネットのおかげでかつてないくらい劇的に変化しています。今こそゲゼルの考え方から学んだ新しい経済システムを構築する時代になっているように思います。ネットで検索するとゲゼルの研究をしている方もおられます。地域通貨や補完通過の研究をしている方もおられます。世界的にも新しい取り組みが次々となされています。新しい貨幣システム、わくわくしませんか?
Takao
廣田裕之著 アルテ出版
超、超オススメです。
昨日、本が届いて、今日読みおわったのでかなりざっくり読んでしまったのですが。
もう一回読みます。次はじっくりと。
廣田裕之さんにはこの本を出していただいてとても感謝です。ゲゼル関係の本は日本語ではぜんぜんないようですから。
ゲゼルのことは数年前に知りました。
ミヒャエル・エンデの、「エンデの遺言」というちょっと伝説的になったNHKの番組の本を母にすすめられて読んだことがきっかけでした。
その後、貨幣制度について自分なりにいろいろと調べたり、詳しい人に会いに行ったりした時期があります。
貨幣制度についての考察は、農に携わるようになったことと同じくらい僕の価値観に決定的影響を及ぼしていると思います。
とくに、マルクスと同時代に生きたゲゼルの考え方は衝撃的でした。
これは僕の勝手な意見ですが、マルクスは資本主義と対立する概念として、革命という形で世界に広がったように思います。ゆえに、マルクス主義思想は資本主義陣営との対立構造を生み出し、世界を二極化していったのではないでしょうか。その結果、資本主義陣営が勝つのですが、資本主義陣営にとっては二者択一の対立構造のおかげで今の繁栄があるのではないかとさえ思います。
ゲゼルの考え方は資本主義と完全に対立するようには思いません、むしろ資本主義を修正し、改善する方向性を具体的にうちだしていたように思います。ですが、彼は歴史の中で大きく取り上げられることはなかったのです。もしかすると資本主義陣営、というか世界をハンドリングしている政治家や銀行家たちにとってはゲゼルの方が圧倒的に危険であり、それ故に無視することが最善だったのかもしれません。
今回、シルビオ・ゲゼル入門であらためてゲゼルの考えに触れてみて、僕が思っていた「減価する貨幣の発明者」というイメージよりももっと大きく世界を考えていたことに驚きました。もちろん、減価する貨幣はとてつもなく重要な考え方ですが、その考えが生まれる基盤には、彼の世界への大きな考察がありました。
さて、「減価する貨幣」って何?と思われた方もいると思います。この考えはかなり興味深いので、簡単に紹介しておきます。
今、僕の手元にお米が100kgあります。このお米は1年後には古米になってしまいます。私たちが必要とするあらゆるモノは基本的に年月が経てば劣化してしまいます。では、お金はどうでしょう?お金は今も1年後も劣化することはありません(インフレ、デフレなどで相対的価値が変化することはありますが、劣化はしません、今は単純化するためとりあえず相対的価値は置いといてください)。
僕がAくんに余っているお米を50kg貸したとします。1年後、Aくんが新米として50kgを返済してくれたら僕は大もうけです。なぜなら、本来は劣化してしまうお米を新米として1年後に受け取ることができるし、その間の保管のあらゆる手間が省けるからです。いや、これはAくんに悪いから、40kgの新米の返済でもいいかもしれません。さて、ではお金だとどうなるでしょう?お金は劣化しないので、1年後にAくんから返してもらっても僕は大もうけしたとは思いません。むしろ、いつでも使えるお金を1年間も使えなかったのだから、その分のお礼として利子を上乗せして払ってもらわなければと思います。
あれ?これって何か違和感ありませんか?お金は結局、私たちが必要とするあらゆるモノと交換するのです。モノは基本的に劣化します。なのに、お金の場合は劣化と反対に増えてしまっているではありませんか。それって自然の法則に逆らっている。
だから、お金も劣化すればいいのです。たとえば1万円持っているとしましょう。その1万円は3ヶ月後には9500円に減価するとします。具体的には500円のスタンプを貼らないと使えないようにするのです。そうすると、先ほどのAくんに貸したお米と同じように自然のモノに則した形になります(スタンプ貨幣という形で減価紙幣を考えた場合)。
この考え方ってすごいと思いませんか?
実際の世界では、ことはそう簡単には運びませんし、話を単純化していることをもう一度お断りしておきます。ですが、ゲゼルの考え方は自然の法則に反している今の貨幣を根本から考え直すとてつもないすごい発見だと僕は思います。今の経済の基本となるくらい有名な経済学者ケインズも、「後世の人々はマルクスよりもゲゼルから多くを学ぶことになるだろう」と書いていたようです。ま、一方でゲゼルの理論の不完全性を批判もしていたようですが。
長くなってしまいました。ゲゼルの考え方は大きな視野のもとから生まれているので、彼の考えをぜひもっと知ってください。とりあえず今回ご紹介した本がスタート地点。僕も今からまた勉強しようと思っています。
今、私たちの社会はパソコンとインターネットのおかげでかつてないくらい劇的に変化しています。今こそゲゼルの考え方から学んだ新しい経済システムを構築する時代になっているように思います。ネットで検索するとゲゼルの研究をしている方もおられます。地域通貨や補完通過の研究をしている方もおられます。世界的にも新しい取り組みが次々となされています。新しい貨幣システム、わくわくしませんか?
Takao
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